不整脈
不整脈とは、脈がゆっくり打つ、速く打つ、または不規則に打つといった、心臓の拍動のリズムが不規則になった状態を指します。
ゆっくり打つことを徐脈(1分間に50回以下)といい、早く打つことは頻脈(1分間に100回以上)といいます。また、脈が不規則になるものの中に、時々脈が飛ぶ期外収縮があります。このように脈のリズムが乱れると、それに伴い自覚症状が現れます。
頻脈の場合、胸がドキドキとしたり、息切れ、胸の痛みや圧迫感を感じることが多いです。徐脈の場合は、全身の倦怠感やめまい、ふらつきを感じ、時にひどい場合は失神することもあります。
しかし、不整脈があっても無症状の場合もあります。中でも危険なのは、頻脈性の不整脈である心室細動や心室頻拍です。自然停止することもありますが、AED等で除細動できなければ、心臓が機能しなくなり死に至る可能性のある不整脈です。
また、心房細動は、脳塞栓となる不整脈です。
不整脈を診断する為に、いくつかの診断方法があります。
1.安静時12誘導心電図検査
横になり手足と胸に電極を貼り付け、12ヶ所の心電図を記録します。
2.ホルター心電図(24時間心電図検査)
体動時、就寝時の心電図の変化をみます。
3.ループレコーダー/イベントレコーダー
1週間以上の長時間の検査が可能となり、24時間心電計でも分からない、発作が起きたときの心電図が記録されます。
4.負荷心電図(トレッドミル、エルゴメーター、階段昇降等)
トレッドミル(=ベルト上を走る)、自転車を漕ぐ(=エルゴメーター)、階段昇降等の運動負荷をかけ検査室内で
運動時の状態を再現し、不整脈がどのように変わるかをみます。
5.心臓超音波検査(心エコー検査)
心臓の収縮する力、弁の動き、筋肉の厚さや動き、心臓の部屋(心房、心室)の大きさ等心臓の形態や動きをみて、
不整脈の原因となる心臓の病気があるかを検査します。
6.電気生理学的検査
カテーテルを使用した、より詳しい不整脈の検査です。
※当院では埋め込み型心電計を用いて、失神の精査や、心房細動等の不整脈の検出を行っています。
〈徐脈の方の場合〉
ペースメーカーを体内に埋め込む方法があります。
ペースメーカーは、遅くなった自分の脈の代わりに心臓の外から電気刺激を与え、徐脈を解消させる装置です。
〈頻脈の方の場合〉
まず投薬治療があり、抗不整脈薬や血液の固まりを溶かす薬など不整脈のタイプにより、いろいろな薬剤を組み合わせ使用します。
致死性の不整脈の場合は、心房細動や心房粗動、発作性上室性頻拍などはカテーテルアブレーションが検討されます。埋め込み型除細動器「ICD」を埋め込み、致死性不整脈(心室頻拍・心室細動)による突然死を防ぐ目的のものがあります。心臓が致死性不整脈の状態になったときに「ICD」が察知して自動的に電気ショックを与えて心臓のリズムを取り戻します。
そして、最近いろいろな施設に設置されているAED(自動体外式除細動器……致死性不整脈に対し、電気ショックを与えられる機械)があります。AEDは、電源を入れて蓋を開けると自動的に音声が流れ、その内容に従うと操作できます。
〈日常生活において〉
ストレスや睡眠不足、過労、喫煙、過剰な飲酒などの不規則な生活習慣は、不整脈の原因となります。飲酒やコーヒーはストレス解消となりますが、過剰摂取は不整脈の原因となるので注意が必要です。不整脈が悪化しない為にも、日頃の生活習慣を見直すことが大切になります。