医療安全管理業務指針
2026年1月 改定
Ⅰ. 医療安全管理者の位置づけ:権限
医療安全管理者(以下、管理者)は、「医療安全管理部門 設置要綱」に基づき設置された医療安全管理部門に所属し、病院⻑から医療の質と安全の確保のために必要な権限と資源を付与されて業務を行う者である。管理者は、部門の中核として専従で配置され、病院⻑の直接の指⽰命令下で組織横断的に業務を行う。
Ⅱ. 本指針の位置づけ
本指針は、管理者が「医療安全マニュアル」に規定された業務を具体的かつ効果的に遂行するための行動指針である。管理者は、本指針に基づき、医療安全管理委員会および各部署と連携して安全文化の醸成を図る。
Ⅲ. 業務内容:役割
1. 安全管理体制の構築
- 院内の安全管理体制の確保及び推進のための職種横断的な組織として、医療安全管理委員会の運営に参画する。
- 「医療安全管理指針」の策定に関わり、当院の安全管理に関する基本的な考え方や安全確保のための基本的事項等について明⽰する。
- 安全対策を遂行するために、委員会への計画の評価・業務改善に関する提案を行い、かつ医療安全の方針を立案・実施・更新する。
2. リスクマネジメントカンファレンスの実施
- 週1回程度、医療安全に関する実務や協議を行う場として、リスクマネジメントカンファレンスを開催する。
- カンファレンスの内容は固定せず、インシデント・事故報告の集計・分析、事例検討、院内巡回(ラウンド)、または各部署の安全点検結果の評価など、その時々の院内の状況や課題に合わせて柔軟に実施する。
- 重大な事例や再発が懸念される事例については、根本原因分析(RCA)等を用いて組織的な問題点を抽出し、改善策を講じる。
- 分析結果や協議内容は、委員会を通じて定期的に全職員へフィードバックし、情報の共有化を図る。
3. 院内巡回(ラウンド)および安全点検の実施
管理者は、現場の安全対策実施状況を把握し、改善を支援するために、以下の重層的な点検活動を行う。
- 部署による自主点検の管理(毎月)各部署の医療安全管理委員と連携し、毎月1回、所定の点検シートを用いた自主点検を実施させる。点検結果は管理者が回収し、不備項目や改善状況を確認・評価する。※自主点検にて不備や懸念事項が認められた場合は、速やかに実地調査(ターゲットラウンド)を行う。
- リスクマネジメントカンファレンスによる定期ラウンド(月1回〜隔週程度)リスクマネジメントカンファレンスの一環として、定期的に院内巡回を行う。 原則として、労働安全衛生委員会等と連携し、ローテーション(順番)またはテーマ別(重点課題)により実施する。これにより、患者の安全確保だけでなく、職員の労働安全(転倒防止、腰痛予防等)の視点も併せて評価を行う。巡回頻度は、院内の状況に応じて月1回〜2回程度とする。
- 総合定期監査(年2回/半期ごと)年2回(半期ごと)、機能評価項目等に準拠した詳細なチェックリストを用い、医療安全管理委員会メンバーとともに全部署を対象とした総合的な監査を行う。
- 改善指導 巡回および点検により発見された課題については、現場責任者および医療安全管理委員に対し、具体的な改善策を提言する。指摘事項の改善状況は、次回のラウンドまたは報告書にて確認する。
4. 職員研修の企画・運営
- 年2回以上、医療安全に関連する研修会を実施する。
- 研修テーマは、院内のインシデント傾向やマニュアルの周知等の基本的事項に加え、その時々の社会情勢、最新の医療安全に関する知見、および職員からの要望等を踏まえ、適時適切な内容を企画する。
5. 情報の収集と共有
- 『医療機関内の情報』
・満足度調査等の結果、各種委員会の議事録、院内巡視の結果など。 - 『医療機関外の情報』
・厚生労働省、医療事故情報収集等事業、関連職能団体等からの通知・情報。
・各種メディア、学術誌等からの情報。
6. 患者相談窓口の支援
- 患者相談窓口として、医療安全に係る患者や家族の相談に適切かつ誠実に応じる。
- 相談窓口担当者と連携を行い、問題点を各委員会・部署へ通達し、解決策を協議・立案・導入・評価する。
7. 他委員会との連携
- 医療機器安全管理責任者および医療ガス安全管理委員会が管理する医療機器に関する保守点検・日常点検を定期的に確認し、記録する。不備があれば直ちに改善を提言する。
- 医薬品安全管理責任者が医薬品に関する管理・手順書の遵守を定期的に確認し、記録する。不備があれば直ちに改善を提言する。
- 院内感染防止対策委員会にて協議された議案に対し把握し、経過を管理する。
8. 重大事例発生時の対応
- 医療事故発生時は、直ちに状況を把握し、影響拡大防止に努める。
- 死亡事例等の重大事例については、速やかに管理者(院⻑)へ報告し、院内規定に基づき適切に対応する。