2021年 06月22日 |
闘病記 その3 決意の時... |
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それから先、日を追うごとに痛みは徐々に、着実に私をいじめ始めた。
痛み止めの内服量はどんどん増えていったが痛みはそれでもひどくなる。痛み止めを飲んでいても、外来の最中に休憩しなくてはカルテの記入すらできなくなった。患者さんには申し訳ないが、激痛でその日のMRI画像すら歪んで見える。
「ただの自転車でこけたケガにしては程度がひどいな。」
最初に痛みが出現したときから薄々感じてはいたが、頸椎捻挫、むち打ちの症状としてはきつすぎる。
意を決して放射線科に検査の依頼をした。
結果は......
脊髄から神経が出てくる穴、椎間孔というのですが、そこに骨棘(その名前の通り骨のとげ、です)が飛び出ていて、これが神経を圧迫しているようです。
3Dで画像作ってみるとこんなに狭い!!
「そりゃ痛いやろ。当たり前やな、いよいよやっちまったな。」
この時点で自然治癒はあきらめざるを得なくなってしまった。経年劣化と外傷で機械的に狭くなったものが注射とか内服でよくなることがあるわけない。
そこから私にとっては長い時間が過ぎた。世間の人にとってどう感じるかは知らないが、時計的にカウントすると、ただの1時間だけ悩んだ。
「手術しよう。」
基本的に外科医なので「切って治す」がモットーだし、患者さんには外科的治療をすすめながら自分の体だけ保存的治療とかって考えられるはずもない。
あとはどこで手術するのか、だ。私の病院にはもちろん、優秀な整形外科医がいる。だが自分は脳外科医である、私自身も幾度となく同じような頚椎症を抱える患者さんを治療してきた。となればここは脳外科医がやる脊髄外科を選ぶべきではないか、という意味のない?根拠が脳内をめぐり、脊髄外科を専攻する私の後輩にお願いすることに決めることにした。
何といっても年賀状もやり取りしてるしね(笑)
決めたとなれば行動は素早く、待つことなどできるわけがない。
繰り返すようだが私は外科医である。
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