2021年 06月21日 |
闘病記 その2 痛みと向き合う... |
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さて、自転車で転倒後数日してから始まった右肩甲骨から右上腕にかけての帯状の痛みは睡眠をも妨げるようになってきていました。
日中は外来もあるので顔は笑顔のままカルテをうつのだが、その度に痛みがひどく休憩をはさんで、裏の通路で腕と肩ののストレッチをしながら、だましだましの仕事となってしまった。
そうこうするうち、自分が主治医で手術をする予定が入った。この状況で安定した手術などできるわけがない。何としてでも痛みだけでも止めないと!
恒生病院には幸いペインクリニックを標榜する麻酔科医がいる。
その日、麻酔科の先生にお願いした。
「先生、痛みがひどくて耐えられないんです、ブロックできませんか?」
痛みの部位を指し示しながら、まずはトリガーポイントブロックだ。痛いところにブロック注射をしてもらった。まずは耐えられない肩甲骨周辺から。
全く効かない。これではだめだ、ということでそのまま神経根ブロックをしてもらうことになった。
まずC5の神経根ブロック...
確かに、肩甲骨の上部分の痛みは消えた。だが、肩甲骨の内側から上腕にかけての痛みは消えない。
「棘上神経節ブロックを追加しましょう。」
促されるままにブロックを追加してもらった。
うむ、確かに打ってもらったところの痛みは消えた、だがうずくような痛みはそのままだ。今日はすでに何度注射したことだろう、限界というものもある。ただこの痛みは何としても抑えこまないといけない。
「先生、デルマトーム(注1)からいって、僕的にC6だと思うんです、ここにブロックしてもらえませんか?」
※注1 デルマトーム
脊髄神経の何番がそれぞれどの部位の皮膚を支配しているかを示した図のこと。
そして、快くC6の神経節ブロックを行ってもらった。
「おおっ!!」
驚くほどに痛みが消えた。ただ、同時に呂律困難が出現し、右の眼瞼下垂も生じた。まあ、ブロック注射がキチンと効いているということだ。右手も下垂手となり、うまく力が入らない。手がうまく動かせないのでドアを回す手に力が入らない、トイレのドアを押し開けるのも困難だ。その時間1.5時間ほどだったろうか、痛みはない、快適だ。
だが時間が過ぎ、麻痺が改善してくると同時に痛みが再発した。
神経根ブロックではステロイドを使用するので、何度かブロックしている間に神経の炎症が軽減して全体的に症状が改善することも多いらしい。それを待ちたい、駄菓子菓子、毎日痛みが出現するたびに打ち続けることなどできるはずがないし、痛みがないからといって麻痺のある手で手術などできるわけがない。
そうこうするうちにいよいよ私が受け持つ患者の手術日となった。痛みはひどい、ただ手が動かないわけではない。やるのみ、とはいえ自分が患者ならこんな状態の主治医に任せるわけにはいかない。
全体的なプランニング、手術の指導は私、実働部隊は優秀な私の信頼できる医師にお願いし、無事に手術は終了した。
うん、思った通りの手術だ、とはいえこんなことが年中できるわけではない、ましてや私自身もこの痛みを我慢し続けることができるわけがない。
ペインの先生が「この薬がよく効くよ。」と、とある強力な痛み止めを処方してくれていた。最初の数日はまだ効いた。1錠飲めば数時間程度だったけれども。
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さて、まだ続きます。
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