医療法人社団六心会恒生病院

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閉塞性動脈硬化症(ASO)

 動脈硬化が原因で下肢の動脈が狭窄または閉塞する事により、冷感やしびれ、歩行時の足の痛みを自覚し、重症になると足の壊死をきたす病気です。
 欧米では末梢動脈疾患(PAD)と呼ばれるため、近年では日本でもこのように表記される事が多くなってきています。単に足が冷たくなり、歩くと足が痛くなる病気と考えられがちですが、ある報告では冠動脈疾患を約50%、脳動脈疾患を約20%合併するとされており、5年生存率は乳がんや大腸がんより低く、放置しておくことのできない重要な疾患です。
 
 足の動脈が狭窄する病気として閉塞性血栓血管炎(Buerger病)があります。閉塞性動脈硬化症よりはるかに稀で、遺伝的要因が関連すると考えられており、比較的若年(30代や40代)の喫煙歴のある男性(男女比 9:1)に好発します。近年では血管新生療法が試みられ一定の治療成績を収めていますが、治療が困難であることも多く難病に指定されています。
 

【疫学】

総有病率 3-10% 、70歳以上の15-20%

症状

Fontaine分類
1度 無症状、冷感・しびれ
2度 間欠性跛行 歩くと足が痛くなる。休憩すると楽になり、また歩くことができる。
3度 安静時疼痛 じっとしていても足が痛い
4度 潰瘍・壊死 足の指先が黒くなり、潰瘍ができる。場合によっては足の切断が必要になる

主な検査

問診と足の動脈の触診をします。
上腕と足首の血圧の差(ABI)が0.9以下で診断します。
動脈エコーや血管造影や造影CTで血管の狭窄や閉塞を調べて最適な治療方法を検討します。
皮膚灌流圧(SPP)は主に重症虚血肢に対して行う検査方法です。

治療法について

1. 禁煙 
 喫煙は動脈硬化を促進させ、四肢の血管を収縮させます。
 閉塞性動脈硬化症では禁煙が極めて重要です。
2. 運動療法 
 間欠性跛行の治療の第一選択は、運動療法です。
 つまり、歩くことが最も大切です。歩くことにより筋肉の酸素の取り込みが改善したり、側副血行路が発達したり、
 血管が新生したり、血管内皮機能が改善されたりすると考えられています。
 実際に症状が緩和され、歩ける距離が延長します。
 重症度や身体の状態、合併する疾患などによりそれぞれの運動処方をします。
 ※詳細は外来でお尋ねください。
3. 薬物療法
 抗血小板剤、血管拡張剤を中心に服用します。
 症状の緩和や歩く距離の延長が期待されます。
4. カテーテル治療
 バルーンやステントで血管を拡張します。局所麻酔で行うことができ,短時間で治療できるので体に対する負担が
 少ないことが特徴です。
 一定期間が経過すると再び血管が狭くなる可能性があり、再治療が必要になる場合があります。
 病変部位や病変の長さにより適応が詳細に決まっており、血管造影で治療適応を決定します。
5. 手術
 自分の血管や人工血管を利用して、閉塞部位をまたいで血管を繋ぎます。
 一般的に長期開存率はカテーテル治療より高いとされています。全身麻酔が必要でカテーテル治療より侵襲度が
 高いため、年齢や合併症などを考慮し適応を検討します。
 足の壊死が進行した場合は切断が必要になります。切断後も歩行機能を温存するために様々な工夫がされます。
6. 特殊な治療
 LDLアフェレーシス、血管新生療法など
7. フットケア
 保温、足に傷を作らない、深爪に気を付ける、足を清潔に保つ、白癬の治療を適切に行うなど。
 毎日足の状態をよく観察する事も大切です。


閉塞性動脈硬化症は動脈硬化を原因として発症します。したがって、糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙など動脈硬化を促進させる要因を改善する事がとても大切です。足の血管が狭くなった場合や、閉塞してしまっている時期には、すでに全身の血管に病気がおよんでいる可能性があります。
足は第二の心臓と昔から言われているように日頃からよく歩くことが大切です。そして歩いていて、足が痛くなったり、長い距離を歩くとこができなくなったりするような事があれば、放置することなく医療機関を受診するようにしてください。

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